こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。地方でアパート・戸建ての賃貸経営をしています。
所有している不動産はすべて木造で、アパート3棟・戸建て8棟という規模の大家です。
(参考)ペリカンの所有不動産一覧
最近こんな本を読みました。RCで拡大した投資家さんですね。
【書評:圧勝大家の事業戦略】
RC10棟保有して月200万手残りということなので手取りは3%程度かなと。RC投資の良い面(レバレッジ)と弱い面(薄利)がどちらもリアルに伝わってくる本書です。
良くも悪くもRCはこんなものだとわかります。金融機関へのプレゼン手法は一読の価値ありです。 pic.twitter.com/PmsAgrMJsj
— ペリカン@不動産投資ブロガー (@Pelican0825) May 13, 2019
数年前に「高速投資法」という、RC造の1棟マンションで拡大していく手法がブームになりました。
しかし最近は、RCで拡大した投資家さんの出版本が少なくなっていたので、面白いかなと思ってこの本を買ってみたのですが、”RC投資のリアル”がよく分かりました。
今回はRC投資の収益性やメリット・デメリットについて書いてみたいと思います。
初心者がRC投資を目指すとほぼ挫折します【私の経験談】
結論からいうと、不動産投資の初心者が最初からRC投資をすると、99%挫折しますね。
- RCに投資してくれる金融機関があること
- 本業年収が最低1000万(理想は1500万以上)
- 自己資金1000〜2000万程度
- 世帯数が多い1棟マンションを高稼働で運営するスキル
- 低コストでリフォームするノウハウ
- 大規模修繕の知識(外壁・屋上防水・配管系など)
- 出口戦略を適切に描けること
上記が必要になります。
1棟マンションは世帯数が20世帯以上になることもザラなので、全世帯を常に高稼働させるのが一番骨が折れます。
また木造より経費率(固定資産税・大規模修繕系など)も高い割に、利回りは低めなので、思ったほど手取りが出ないのですよね。
私も2013年〜2014年あたりにRC投資に憧れましたが、余裕で挫折しました(笑)
そもそも居住地内で融資してくれる金融機関が無かったですし、自己資金も100万単位だったので銀行から相手にされませんでしたね。
中古RC一棟マンションの利回りはどれくらいなのか?
適当に私が数字を出してもぜんぜん説得力がないので、実際の投資例を元に話します。
本書に、著者の川添さんが運営する大家の会メンバーの事例ですね。
※一部、私の推測値も入っているので目安としてお考えください
Hさんのケース(RC2棟・51部屋・借入2億6600万)
1棟目は1億7000万、2棟目は9600万で地元の金融機関から借り入れたそうです。
毎月の家賃収入は2棟合計で190万円で、返済・諸経費をひいいて手残りが毎月40〜50万円くらいということでした。
ここからは私の試算です。
金利2%で25年ローンだと、月の返済が112万ほど。管理費・定期清掃・税金・共用電気など経費率20%くらい(家賃に対して)掛かるとすると、全体で135万円くらいの支出になります。
50室あれば空室が1〜2部屋(手取りマイナス8〜10万円)あるとして、手取りは45万円くらいになりますので、上記のコメントと近い数値になりましたね。
問題は2億6千万も借金して、毎月手取り45万(年間540万)という点です。キャッシュフロー率2%くらいの水準なので、けっこう薄利と言えるのではないでしょうか。
RC1棟あたり大規模修繕で1000万〜2000万は覚悟しておかないといけません。年間540万の利益なら2〜3年分は消えます。2棟を大規模修繕するなら、4〜6年分のキャッシュフローが消えていくでしょう。
Iさんのケース(RC3棟+区分3つ・85室・借入4億6000万)
借入が3棟+区分3つで、借入総額は4億6000万円という事例でした。
毎月のキャッシュフローが70万円ということなので、年間で840円ほど。キャッシュフロー率は1.8%です。
区分マンションが入っているので、純粋なRC投資の利回りではありませんが、CF率は2%前後ということですね。
RCによる高速投資法はなかなかハードルが高い
本書の著者の川添さんは、もう少し利回りが良さそうでした。
10棟200室にして毎月のキャッシュフローが200万円ということなので、年間CFは2400万円ほど。借入が10億ならCF率は2.4%ほど、借入8億なら3%ほどです。
先ほどの事例のメンバーもまだサラリーマン卒業はしていないようです。さすがに借金が3〜4億も抱えて年間数百万の手取りだと、リタイアは難しいでしょう。
けっしてこれはRC投資法をディスっているわけではなく「これがRC投資の現実である」ということです。
RC1棟ものでリタイアを目指すなら、5億、10億とどんどん買い進めながら、手取りの実額を増やしていくようなイメージになります。
投資のゴールをどこに置くかで戦略が変わる
このように、RCは多額の借金をして、キャッシュフローを増やしていく投資です。
一方で、見方を変えれば、属性と自己資金がそこそこあり、サラリーマンを辞めるつもりがないなら、RC投資は一つの投資手法になりうるということです。
これは不動産に限らずですが、投資のゴールをどこに置くのかによって手段が変わりますね。
ただし高属性サラリーマンは、ただでさえ年収がそこそこ高いのに、個人でRCを買うと税金地獄になります。おのずと、法人で買っていくことになるでしょう。
また繰り返しですが、多世帯の空室対策をしていくスキルが必須で、経費コントロールもそこそこ難易度高いです。
2012年〜2016年くらいの不動産バブルで、RCをスルガで購入し、その後借り換え・売却で成功した投資家はたしかに存在します。
でも、それはほんの一部の成功例であり再現性がありません。これは、アベノミクスにより株で儲けたのと同じで、時代が味方したという側面が強いのです。
おわりに:不動産投資は地道で泥臭い商売です
不動産投資は、地道でとても泥臭い商売だと私は思っています。たまに2〜3年くらいで毎月キャッシュフロー100万を超えたいです!なんて言う人がいますが、ほとんどの人は無理です。
よっぽどの自己資金があれば別ですが、日本の平均的なサラリーマン(年収1000万以下)で、自己資金も数千万とかない人では困難です。
私も1棟目はアパート経営でしたが、その後は戸建て投資を軸に、物件を共同担保にする戦略でサラリーマンをリタイアすることができました。
戸建て投資について、詳しく知りたい方は「戸建て投資の始め方【知識ゼロ→毎月30万円の家賃収入を目指そう】」でも詳しく解説しておりますので、ご覧になってみてくださいね。
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