
こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。
新築4棟目がこの春に無事満室となり、現在は新築5棟目の着工がスタートしたところです。弊ブログで以前から言っているように、ペリカンの当面の目標は「10年以内に10棟新築を竣工する」というものになります。
そもそもこの目標を掲げた最大の理由は、千葉の金融機関が耐用年数超え物件を持つ投資家に対して、ものすごく融資が厳しいという特徴があるからです。とくに本部稟議が必要なプロパー融資審査においては、耐用年数超え物件を複数持っているだけでかなりマイナス評価されます。
その結果、千葉エリアで順調に規模拡大している大家さんの特徴は、以下の2つですね。
- 残耐用年数のある1棟RCや重鉄マンションを買っている投資家さん
- 新築アパート中心に買い増している拡大している投資家さん
上記2つが中心となっており、耐用年数が残っていることは融資審査において重要度が高いです。耐用年数超えの高利回りアパートだけで規模拡大している大家さんは、私の知るかぎり少ない印象です。
土地値がしっかりあっても、耐用年数超え物件から得られる収益は半分くらいしか評価してくれない地銀さんもあります。
それでも信金信組さんだと保証協会付きで取り組みしてくれたり(保証料がそこそこ高いですが汗)、大規模修繕されていれば期間10〜15年くらいで融資する金融機関もあるものの、地銀クラスになると耐用年数超え物件自体が拡大の足かせになるケースがほとんどです。
こんな融資環境から、ペリカンも4〜5年前までは高利回りの築古物件を選好していましたが、耐用年数超えに無理やり融資を引っ張って所有戸数を増やしていくのはすぐ限界が来るだろうなと感じていました。
そこで思い切って戦略の変更をしたのが2021年頃の話。
ペリカンの新築アパートは小ぶりでロットも1棟あたり4000万くらい。レバを効かせつつも、自己資金も毎回25%くらい投入しているので、CCR(投資効率)はそこまでよくありません。
フルローン・オーバーローンで融資を引いている他県の新築系大家さんは羨ましいかぎりですが、千葉エリアの融資環境と私の属性&ステージでは、これが精一杯です。それでも塵も積もれば山となるで、新築5棟合計では2億近い投資規模になるので、他の凄腕大家さんの足元にも及ばないものの、徐々に規模感が出てきた気はします。
ということで前置きが長くなりましたが、本記事では「新築アパートに2億円弱の投資をしてみた結果!」と題して、収支のまとめと今後の投資方針をまとめてみたいと思います。
これまでの課題や反省点も含めて書いていきますので、これから新築アパート投資をしたい人はぜひ参考にしていただければと思います。
2億弱の新築アパートの収支結果
5棟の新築アパート合計で1億8792万円の投資額となりました。これは土地+建物のトータル総工費になります。
満室時賃料は年間1744万円となり、平均利回りは9.3%になります。毎月家賃は145万円、返済は68万円くらいで返済比率は46%となっています。
キャッシュフローは年間927万円ですが、そこから固都税・火災保険・広告料・空室ロスで家賃の12%(200万程度)は食われる試算ですので、税引前CFは720万円くらい。木造で減価償却による税金圧縮が大きいものの、150万くらい税金が掛かるので、最終的な手残りは570万円程度を予想しています。
5棟合計で5000万くらい頭金を拠出していますから、最終手残りに対するCCRは11%程度になります。5000万現金つっこんで、毎年10%以上の利回りを出せる金融商品(ペーパーアセット)は少ないでしょうから、一見効率よく見えます。
しかしながら賃貸業は、原状回復やトラブル対応の手間がかかりますし、今後の家賃下落や修繕による収益減少リスクを考えると、CCR11%というのは妥当な水準なのでしょう。
ただ私の新築アパートのCCR(投資効率)は、他の大家さんと比べると特筆すべきものではなくむしろ平凡です。ペリカンの新築アパートに唯一強みがあるとしたら、それは融資期間20年前後と短いため、返済ペースが早いことでしょう。新築だと期間25〜30年くらいで取り組む投資家さんが多いですからね。
現在は月50万ほどローン元金が減っています。これだと年間で600万円ずつ借金が減ります。
頭金を突っ込むと手元資金が枯渇するデメリットもありますが、一方で短期返済でも収支が回る計画が立てられるため、これはかなり金融機関ウケが良く、追加融資も前向きにしてもらえます。実際に3年間で新築5棟の融資承認をもらえたわけですからね。
最終的にローン返済が終わっても築20年くらいのアパートであれば、まだまだ賃貸物件として稼いでくれるでしょう。もしくは築15年になると残債が1/4になるわけですから、手元現金を貯めておいて一括繰上返済すれば、無借金のスーパーキャッシュフロー物件が完成します。
新築アパートと言うと、期間25年〜30年で長めにローンを組みキャッシュフローを出す大家さんも多いですが、私はキャッシュフローをどんどん伸ばすより「債務超過しにくいこと」に一番重きを置いています。返済ペースが早ければ、時間の経過とともに資産>負債となりやすいので、時間が味方する投資というのを第一に考えています。
キャッシュフローを伸ばすと毎月の収支はたしかに安定します。ですが、けっきょく頭金として手元のキャッシュを使っていくと現金が枯渇していきます。これだと所有棟数が増えてキャッシュフローも増えているはずなのに、ぜんぜん残債は減らない、というバランスの悪い状態になります。
毎回フルローンに近く借りれるなら、買えば買うほど手元現金も増えていく投資家さんは良いと思いますが、それでも残債がなかなか減らないという状態に変わりありませんから、けっきょく残債が減らないデメリットを受け入れて、その代わりに手元キャッシュを残しているだけにも見えます。
私の場合は、これから起こる様々なリスク(金利上昇・大地震・人口減少・自分自身の死など)を考えると、早めのペースで返済を進めて、借金が減ることに喜びを見出すことにしました。もちろん融資レバレッジを効かせないと不動産投資をやっている意味が薄れるので、「借りるけど、早めに返す」というのが一番心地よいことに最近気づいたのです。
けっきょく返済ペースを早めると収支がキツくなる(返済比率が高くなってしまう)ため、頭金を入れて帳尻を合わせているということですね。それにより新築APのローン返済比率は46%なので、全体ではそこそこ抑えられています。
新築アパートを建てるときに一番意識していること
ペリカンが新築アパートで一番意識しているのは「ターゲットをどこまで広げられるか?」ということです。この点について詳しく書いていきます。
これまで5棟の新築アパートを建てましたが、すべてガレージハウスです。
おそらく多くの人がガレージハウス=車好きが入居すると思う人が大半でしょう。もちろん車好きバイク好きの人もいますが、実際はもっと多岐に渡ります。
事実すでに運営しているガレージハウス4棟(8世帯)について、入退去も含めると12〜13回くらいお申し込みを頂きましたが、車好きバイク好きの人は全体の3〜4割にすぎません。
残りの6〜7割の人のうち半分は事業利用で、もう半分は単純に内装や仕様が気に入って入居してくれた人もいました。家賃が13〜15万円頂くので、入居者さんの年収も高く、高級車に乗っている人は多いのですが、ガレージ内で車いじりやメンテナンスをしているようなオタクばかりではありません(笑)
おそらく「内装も素敵だし、ガレージが付いているのもおしゃれでいいね!」というくらいの人がかなりいます。
こういう人は、ガレージはフックに過ぎません。実際、所得層が高い人だと趣味も豊富で、ガレージにサーフボードを置いたり、ゴルフ用品を置いたりする人もけっこういます。
車が2台置けるのが良かったという人もいますし、ペットと一緒に住んでいる人もいます。単身からカップル夫婦まで、若年層〜50〜60代まで幅広くお住まいいただいてます。
今後の新築アパート戦略について考える
最後に今後の方針についてです。
ペリカンは、日本の賃貸物件はかなりグレードが低い物件が多いと考えています。とくに地方エリアはその傾向が強いです。
高騰する建築費をカバーするために、家賃を上げることを考えると、もっと内装や設備仕様にもこだわりを持って企画しないと長期的に戦っていけないでしょう。建て売りアパートを買うリスクは、ここのコントロールができない点にあります。
築古アパートでも2DKの間取りだと、1Kやワンルームと比較しても競争力が高いのは、よく聞く話です。カップルや夫婦も狙っていくなら狭小1LDKではなく、理想は広め1LDKや、2LDKだとベストということになるでしょう。1世帯につき駐車場2台も必須になります。
またペット可物件は人気があります。戸建てなどをペット可で募集すると、引き合いがとても強いです。新築アパートで「ペット可」で募集するなら、鳴き声など騒音も出てくるので、防音対策もしっかりやらなければいけません。
私の物件では、断熱材に防音効果の高いセルロースファイバーを使ったり、石膏ボードを界壁に対して片側3重張りにしているのはその対策でもあります。実際にペット可にして、5000円〜1万円くらい家賃アップできているので収益性アップにも貢献できています。ペットがいると引越し先が限定されるので長期入居になりやすいとも感じています。
いろいろ書いてきましたが、けっきょく賃貸物件というのは、ターゲットを絞るのではなく「広くいろいろな人達が使える物件」が一番入居が付きやすいのです。しかし、これはよく言われるような「ペルソナを設定せよ!」ということとは、けっして矛盾しません。
そんな細かいことを考えなくても、都市部の駅チカに新築建てろ!不動産は立地が命だろ!というのは私も100%同意なのですが、そこばかり狙っても物件が買えない(業者に買い負ける)とか、利回りが低すぎるという別の問題がどうしても出てくるのです。
そういう仕入れの問題だったり、収益性や利回りも諦めたくないという点も考えると、複数のペルソナに対応できる高いグレードの賃貸物件を建てていくのも、地方エリアで生き残っていく方法なのではないかと考えています。地方エリアは、グレード感のある素敵な物件が本当に少なく希少ですからね。
とはいえ、田舎すぎると人口減少のスピードが早かったり、出口で買ってくれる人もいないでは困ります(笑)ですから地方の中でも人口減少がマイルド、かつ利便性も高い立地選定は、これからますます重要になっていくでしょう。
繰り返しになりますが、日本の賃貸物件はかなりグレードが低いです。注文住宅はどんどん進化していますが、賃貸物件は本当に時代が止まっているかのようです。やっと宅配ボックスやウォークインクローゼットが入ってきたくらいです。
断熱・気密・日射取得・日射遮蔽・防音などは、まだまだ弱いです。
もっともっと魅力的な商品を作ることだけでもローンの返済期間20年くらいは十分戦っていけるでしょう。地方だからと悲観することなく、顧客目線に立った新築アパートをこれからも開発建築していきたいと思います。
いわゆる”儲かる物件”であることも大変すばらしいと思いますが、私は新築から40年後50年後にも「このアパートを建てたオーナーさんはセンスがいいね!入居者のことをよく考えてるね」と言われるような物件を建てて行きたいですね!
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