こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。地方でこじんまり不動産賃貸業で暮らしています。
「金利」と「返済期間」が賃貸経営に与える影響について、よく理解することは大切ですね。
とりわけ、キャッシュフロー型で資産拡大を目指す人には必須の知識といえます。
この2つは金融機関を選ぶ上でも大きな判断ポイントです。具体的に解説してみたいと思います。
金利と返済期間どちらを重視すべきか?
結論から言うと、投資の初期ステージでキャッシュフローを出したいのであれば、金利より「返済期間」の方を重視すべし、ということですね。
分かりやすいように、事例で解説してみます。
*利回り:13%(満室時年間賃料 390万)
*融資:フルローン
年間賃料390万ですので、満室時には月325,000円の家賃収入になりますね。
金利による返済負担の違い
この物件を融資期間25年で組む場合、金利が1%、2%、3%のそれぞれでローンを組むと、月々のローン返済額と返済比率は以下になります。
- 金利1% → 113,061円(返済比率34%)
- 金利2% → 127,156円(返済比率39%)
- 金利3% → 142,263円(返済比率43%)
もちろん金利は低い方が望ましいのですが、貸出金利が1%違っても、毎月の返済は14,000〜15000円ほどの違いであり、思ったほど大きなインパクトではありません。
むしろ上記例の場合は、金利が1%〜3%の間であれば、返済比率は30%〜40%前半ラインであり、賃貸経営としては健全な範疇と言えるでしょう。
なお金利が低いと、残債がガンガン減っていくじゃないかという反論もあるかと思いますが、これも元利均等返済で組んだ場合、そこまでインパクトはありません。
その証拠に、5年保有後の残債はそれぞれ、金利1%だと2449万円、金利2%では2505万円、金利3%2557万円となっており、100万円程度の違いに収まっています。
融資期間による返済負担の違い
次に、「融資期間」による返済負担の違いを説明します。
金利は3%に固定し、返済期間だけ25年、20年、15年のそれぞれでローンを組むと、月々のローン返済額と返済比率は以下になります。
期間20年 → 166,379円(返済比率51%)
期間15年 → 207,174円(返済比率63%)
これを見ると一目瞭然ですが、期間25年の場合は返済比率が43%と安全ラインですが、期間20年になると50%を越えてきます。そして15年ともなると、返済比率がなんと63%まで上昇し、もやは危険水準といえるでしょう。
以上より、初期ステージで「融資期間が短いローン」を組んでしまうと、キャッシュフローに多大な影響が出て、手残りが出ない状況をつくるということです。
この対策は自己資金を多め入れて返済比率を落とすことが、一番シンプルで簡単な方法です。
また、キャッシュフローより残債の減るスピードを優先し、数年運営して大きく売却益(キャピタルゲイン)を取りたい方には、短期返済がオススメということになります。
ですが、自己資金が少ない人にとっては、まずはキャッシュフローを圧倒的に出すほうが、時間軸での投資効率は良くなりますね。保有中の修繕耐性もあがるというメリットもあります。
キャッシュフローを優先する場合は、出口で売却価格が下がりにくい物件(好立地または高利回り)を購入することが不可欠です。
所有中のインカムがどんなに良くても、売る時に大きく価格を下げないと売れない物件は、トータルではさほど儲からないからですね。
低利回りで資産性の高い物件を買う時の注意点
資産性を追求する場合は、立地が良い物件で、長期安定経営をしていくのが王道です。東京都内だと最近は利回りがかなり低くなっており、場所にもよりますが5%、6%の物件もザラです。
その場合は、金利を1%前後または1%以下でローンを組んでしっかりイールドギャップを出さないと、運営が赤字になりかねません。利回り5%で、金利2〜3%だと回るはずがありませんからね。
これはかぼちゃの馬車で、利回り7〜8%の低利回りの物件に金利3.5%という、約半分くらいの調達金利で運営し、破綻してしまった例を見れば、火を見るより明らかですよね。
つまり、低利回りで資産性を追求する場合は、保有期間を長めにして残債を減らしながら、最後に売却益を取りにいく戦略ですから、「融資金利」が一番重要になってきます。
この辺りのロジックが分からないまま、不動産会社のシミュレーションを信じて買うと、失敗します。
よくあるのは低利回りのアパートを、オリックス銀行や静岡銀行あたりで組んでしまうと、CF出ない・売れないの二重苦に陥ってしまうことがあります。十分注意しましょうね。
おわりに:自分がやっている投資を理解する
投資で一番大切なことは、「自分のやっている投資がどういうものかをよく理解すること」です。
それは利益の出し方などプラスの側面だけでなく、その手法を採用した時のリスク・デメリットと、それに対する対策まで含めて、自分中で腹落ちおくことでしょう。
いつの時代も、損をする投資家は、高値で買ってキャッシュフローが出ず、運営で苦労しています。
一方、賢明な投資家は、自分の基準を満たす物件を、確実に利益の出る金額でせっせと仕入れ、着実に投資拡大を進めていきます。
物件価格が割り高なのに、妥協して買うような愚を犯さないようにしなければいけません。
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