家賃収入50万円の達成術

まずは家賃収入50万円を目指す

不動産投資をこれからスタートする人にとって「いつまでに、どのくらいの家賃収入をまずは目指すのか?」という目標は、見通しが立てづらいものです。

 

そんな方々に推奨するのは「家賃収入50万円」という規模感です。

 

これは満室時の家賃収入ですから、ローン返済・経費を差し引いた手取りCF(キャッシュフロー)は25万円くらいを想定しています。

なぜ家賃収入50万円(キャッシュフロー25万円)を目指すのか?

不動産投資を推し進めていくにあたり、一番の障害となるのが「自己資金」の問題です。

 

まずは小ロットの物件を買おう!

昨今、不動産投資を取り巻く環境の変化が出てきました。サラリーマン属性があればフルローンが出やすかった2013年〜2017年あたりと違って、これからは賃貸業の実績が浅い人、自己資金のない人に対しては、融資が通りにくい状況があります。

 

したがって、これから不動産投資をスタートする人は一定の自己資金投入は必須になってくるということです。もちろん高属性で、すでに手元現金が1000万〜2000万ある人ならロケットスタートを切れます。

 

しかし、手元資金が厚くても投資初心者であることには変わりありません。

 

こうした人が1億円以上のRC造(特に地方×築古RCやテナント付き1棟ものなど)から始めるのは、リスクが高くなります。規模が大きくなればリターンだけでなく、修繕費などのリスクも大きくなるからです。

 

ですから、小さな物件から不動産投資をスタートして、慣れてきた段階で徐々にペースアップして物件規模を増やしていくというのが王道でしょう。

 

キャッシュフロー25万円の世界線

では、なぜ最初は「CF25万円」というラインをまずは目指すのか?それは、複利効果をある程度、実感できてくるのが、このレベルだからです。

 

普通のサラリーマンであれば、本業収入から貯金は毎月5万円くらいかもしれませんね。頑張っている人でも、毎月10万円くらいでしょうか。毎月5万円なら年間60万、毎月10万円なら年間120万円貯まるということになります。

 

こうした堅実な貯金サイクルは素晴らしいことですが、不動産を買うための自己資金としては、いささか心許ないように感じます。

 

しかし、ここで所有不動産からのCFが別に毎月25万円あるとどうでしょうか?毎月30万〜35万円の貯金ができるということですね。年間にすると350万〜400万円ほど自己資金が貯まります。

 

これを3年続けると実に1000万円以上も貯まります。結果的に、次の投資が一気に広がっていきます。自己資金が増えれば、金融機関からの評価も当然上がります。

 

この1000万を活用して、また小さな物件をコツコツ買っても良いでしょう。または所有不動産のメンテナンス費用(大規模修繕等)に充てることで、さらに強固な収益基盤にすることもできます。

 

つまり、この早く自己資金が貯まるフェーズ(複利効果フェーズ)にどれだけ早く到達できるか。ここが大気圏を突破して、自動で浮上していけるかどうかの最初のポイントになってくるということです。

家賃収入50万のポートフォリオ

結論から書きます。家賃収入50万円構築は、以下の購入ポートフォリオです。

 

  • 戸建て(600万円程度)×2棟
  • アパート(2000万〜4000万程度)×1棟

 

まず戸建てについては、想定は1棟あたり600万円程度の物件です。自己資金は300万拠出します。融資は日本政策金融公庫で借入(300万・金利2%・期間10年)という条件なら、返済は月々27,604円です。

 

公庫は金額が400万円を超えてくると、賃貸実績のない初心者に無担保融資は厳しくなることもあるようですので、物件の50%(300万円)を自己資金投入で対応します。※35歳未満の若者や、女性ならもう少し優遇されるかもしれません。

 

この戸建ては毎月の家賃収入は7万〜7万5千円を想定しています(単純利回り13〜14%)。すると手取りCFは1棟で4万円、2棟合計で8万円になりますね。

 

この段階から次のステップは、中古木造アパート投資に踏み切ります。

 

規模は3000〜4000万円程度が手頃です。あまり大きな金額規模の木造アパートを耐用年数超えで買ってしまうと、売却時に現金で買える投資層も少なく、出口で躓く可能性があるので、このくらいの規模感までがベターでしょう。

 

どんなアパートを狙っていくべきか?

例えば、3000万円で築20年台の物件ならベストですが、立地や利回りが良ければ築30年前後まで含めても良いでしょう。利回りは14%程度あると合格ですね。

 

3000万円の中古アパートを利回り14%で購入すると、年間家賃420万となり、毎月の家賃収入が35万程度になります。購入は頭金300万、諸費用200万で500万円ほど拠出します。

 

融資は2700万円、金利3%台、期間25年で、ローン返済は毎月14万円程度になります。

 

使える金融機関(アパートローン)は年収によっても変わります。詳細は以前の記事「年収別のアパートローンを完全解説!【年間手取り500万を目指そう】」で解説してますので、必ずご確認ください。

 

その際の自己資金500万円は、本業からの収入、先ほどの2棟の戸建てのCFから出していくのが望ましいです。難しい場合は、一時的な諸費用ローンで工面して、購入できたら1年位で一気に繰上返済してしまうのも手です(これはスピード優先する場合のみですね)。

 

このアパートから得られるCFですが、満室時の家賃収入が35万円、ローン返済が14万円なので、管理費・経費を引くと、20万円弱は残ります。年間稼働90%でも、毎月15万円程度は手残りCFになります。

 

ここまでで以下の収入構造になります。

  • 戸建2棟(家賃収入14〜15万、CF8万)
  • アパート1棟(家賃収入35万、CF15〜20万)

理論上は、これで家賃収入50万円、CF25万円程度に到達することができます。

この戦略のメリットと注意点

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この戸建て2棟、アパート1棟の購入戦略の最大のメリットは、まず安定収入源としての戸建てと、稼ぎ頭&ミドルリターンのアパートというバランスの良さになります。

 

アパートは高金利&長期融資で残債が減りにくい体質になっていますが、サラリーマン収入と、安定の戸建て収入があることで、最大限リスクヘッジされています。

 

またアパートは、大規模修繕などはありますが、1棟マンションのようなエレベータ修繕や、外壁塗装の際の高額な足場台も不要です。

 

その分、CFを出すためには高稼働というのが条件なので、空室対策は頑張らないといけませんね。ですが、戸建て投資があるからこそ、安心して腰を据えて取り組めるというものです。

 

あとは空室ロス、入退去時のリフォーム、広告料、固定資産税なども掛かってきます。したがって、これらの経費ができるだけ抑制できる、物件選定・管理会社選び・リフォーム会社選びが重要になってきます。

 

戸建ては競争力が強いので、あまり経費(空室ロス・広告料)が膨れ上がることは少ないです。

 

しかし、アパートは広告料だけで3〜4ヶ月かかるエリアがあったり、空室期間が3ヶ月以上続くような賃貸需要や人口流入の少ないエリアだと経営が苦しくなります。エリア選定など、十分に気をつけましょうね。

購入物件の「売却」まで意識しよう

最後に出口戦略ですが、戸建てはそこまで問題にならないと思いますが、アパートは注意しなければいけません。

 

高金利&長期融資だと残債が減るスピードが遅いので、売却するときに、残債が消えるラインで売却価格を設定できないパターンが一番のリスクになります。※減価償却費を多く計上していると、売却益に対する譲渡税も大きくなります

 

結局は、アパート投資というのは、売り先も投資家に限定されるので、満室であることと、利回りを高く保つことが王道にして最も有効です。

 

あとは、土地値比率が高いものを選べばリスクヘッジできますが、そのためには所有期間中に繰り上げ返済も選択肢に入れて、残債利回りを上げていくことも効果的です。※土地値の高い物件は、利回りも低めのケースが多いので、繰上返済してローン負担を減らしていくのが基本です

 

一方で、土地値が二束三文のアパートならば、できるだけ高利回り&安定需要を意識しての経営が必要になります。

 

経費節減の観点から、労働力投入(DIYリフォーム・自らの客付け営業)は必要になるでしょう。これは不動産投資=不労所得ではない所以です。

(参考)【初心者でも簡単】DIY・リフォームの知識&ノウハウまとめを公開! 

 

努力なくして、果実は得られない

もちろん、どこまでセルフリフォームを入れるかは個人の価値観とスキル次第です。できる範囲内で最初はトライしてみれば良いと思います。

 

あまりそういうことをやりたくない人は、物件を安く仕入れて、プロの職人さんにすべて依頼しても利回りが落ちないレベルで購入しなければいけませんね。

 

不動産というのは、個別性が高いため、物件一つ一つの購入判断が非常に大切です。ババ物件を掴むと、挽回するのも大変です。一方で、判断の質を高めれば、安定したキャッシュフローを得ることも可能です。

 

最悪、収支トントンなら大きな怪我にはならないのですから、その間に戸建て投資を増やしたり、自己資金投入率を高めた物件購入を混ぜる、融資期間を短めの不動産を組み合わせれば、将来的なリスクを下げることもできます。

 

途中で、含み益が大きい物件なら、売却も有効です。一度、キャッシュ化することで、手元現金が多くなれば、修繕やトラブル対応もしやすくなるからです。

 

逆を言えば、最初の1〜3棟目あたりまでを間違いのない物件(失敗しにくい物件)を掴めるかどうかで、その先の5年〜10年の投資が良い方向に進むかどうかの成否を分けます。

 

不動産はけっして甘い世界ばかりではありません。しかし、常に数字で考えて、情熱と勉強を惜しまなければ、10年、20年というスパンでは、かなり資産形成は前に進んでいくと考えています。

 

時間の価値は、それほど大きいものです。

 

コツコツと経験値を増やして、複利効果が実感できてくるようになると嬉しいものです。賃貸経営は、快適な住空間を世の中に提供できる立派な事業です。その過程で、リフォームプランを考えたり、クロスや床材を楽しみながら選ぶのも楽しい作業です。

 

これは他の投資にはない大きな醍醐味でもあると言えるでしょうね。

 

以下、関連記事です。

 

▼不動産投資の個別相談をしています。ご興味のある方はどうぞ。

 

▼新築アパート投資って、本当に儲かるのか?その検証記事です。

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