三井住友トラストL&Fの融資基準
三井住友信託銀行のグループ会社で、俗に”ノンバンク”と言われる金融機関です。
三井住友トラストL&Fは、金利は3.9%と若干高めです。
しかしながら、新築なら6年以上35年以内、中古でも6年以上30年以内と法定耐用年数を超えた長期間の融資に対応しています。個人のアパートローンの上限は3億円以内です。
私が考える、三井住友トラストの一番の強みは以下の2点です。
- 2〜3営業日での事前審査が可能
- 年収基準は無く、自営業者でも対応可能
まず事前審査がスルガ銀行と同レベルでスピーディーであることです。現在は、高利回りの優良物件は非常に珍しいため必ず買い付け競争になります。したがって、現金買い付けでもないかぎり、まずは事前審査のスピードが要求されます。
また地銀などは、年収が700万円以上などに対象が限定されることが多いため、年収300〜500万円程度の低所得でも対応してくれる三井住友トラストは非常に使い勝手が良いと言えるでしょう。
自営業者でも融資可能というのは非常に心強い存在だと言えます。
全国の支店が、仙台・東京・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡の7拠点あります。支店のある都道府県は対応可能ですが、例えば関東でも1都3県(神奈川・埼玉・千葉)は問題なく融資相談ができます。
ただし北関東(茨城・栃木・群馬)になると、融資金額の掛け目が多少キツくなるようですが、融資が出ているようです。
一番のポイントは、「共同担保物件」が必ず必要になるということ。例えば、アパートを購入する前に、金融機関の抵当の付いていない現金購入した戸建てなどを共同担保として差し入れなければいけません。
その際、共同担保の担保価値(土地と建物の値段)や、賃貸用物件なら賃借人の有無によって、担保価値が変わります。よって共同担保は、市街化区域の路線価がしっかり付いている物件であればあるほど、フルローンやオーバーローンの可能性が広がっていきます。
金利が3.9%と高い分、属性を選ばず貸し出してくれて審査も早いので、キャッシュフローが少ない投資初期に活用する金融機関としては心強い存在です。
しかし築古の木造物件に対して平気で20年とか25年の融資が出ますので、後々キャッシュフローが厚くなったら、繰上返済していくのが好ましいと思います。
繰上返済によって違約金(返済額×2%)がかかりますので留意しておきましょう。1000万円繰上げ返済したら、20万円掛かるということです。
再建築不可・違法物件への融資
三井住友トラストのもう一つの特徴は、再建築不可はもちろん、建ぺい率オーバー・容積率オーバーなどの違法物件、その他借地権の物件なども、幅広く融資対象に入れてくれます。
例えば、私が所有してる千葉県のアパートは私道接道で、持ち分全員の再建築許可が必要だったため、実質再建築不可に近い物件でした。
しかし売買金額に対して、7割を融資可能で、共同担保と手持ちの現金を投入して残り3割+諸費用を埋めることで購入することができました。
(参考)私が再建築不可のアパートを購入したワケ【リフォームして貸し続ける戦略】
ゆえに再建築不可やワケアリ物件の場合は融資は可能ですが、融資額が物件価格の7割前後になることを覚悟しておきましょうね。またワケアリ物件は出口戦略(売却)において売却額が下がりやすい傾向にありますので、よほどの高利回りか、物件自体の金額レベルが小さいものがオススメです。
例えば、都市部の物件であれば3000万円以下で、利回りが良ければ現金で買い付けできる投資家が一定割合います。ワケアリ物件を、三井住友トラストを活用して購入する場合は、売却時の損失が最小になるような物件を購入することもポイントになります。
融資はまさにチェスのように、どういう組み合わせと戦略を持って、ゲームを前に進めていくかです。接道も良くて、東京都内にあって、高利回りで、築浅・・・・などという物件は存在しません。
難あり物件で高利回りというのも一つの手法になります。ただし、1棟目、2棟目あたりでは無難な物件を選ぶべきだと考えています。
5000万円以上は「金利2.9%」と優遇金利あり!
2016年頃から、5000万円以上の1棟アパートや1棟マンションなど大口案件には金利が3.9%→2.9%で融資してくれる新基準が登場しました。
これは1棟単体で5000万円を超える場合はもちろんのこと、すでに三井住友トラストで2000万円の借入がある人が、追加で3000万円の借入をしたら、3000万円部分について金利2.9%が適用されます。
つまり累計で5000万円を超えれば良いわけですが、通常返済や繰上返済で、将来残債が5000万円を下回ったとしても、金利は2.9%のままになりますのでご安心ください。
また法人融資についてですが、資産管理法人に対する融資も行っています。
法人は株式会社でも合同会社でもどちらでもOKです。個人と法人は一体としてみるので、新設法人であっても、個人の貸付金額が5000万円を超えていたら、法人の最初の取り引きから金利2.9%が適用されるというのも大きなメリットです。
最初は個人で三井住友トラストで借りておいて、家賃収入が増えてきたら法人を立ち上げたいと考えている投資家にとっても、使いやすいと言えるでしょう。
おわりに
以上、ノンバンクの三井住友トラストL&Fは様々な使い方ができますが、築古に対して長期融資を引いていくと、信用毀損になります。
したがって上記のメリット・デメリットを勘案して使うことが大切だと思います。
そして、ある程度まで借入ボリュームが増えたら、古い物件を売って、繰上返済を進めていくと信用毀損が解消していきますので、全体のバランスを考えて活用していくことをおすすめします。
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