こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。千葉県で5年ほど専業大家さんをしており、平均稼働率は96%です。
はじめて不動産投資をする方は満室経営できるのか?というのが一番の不安だと思います。また賃貸業をしているけど。空室対策に苦戦している大家さんもいらっしゃるかもしれません。
私も不動産投資で一番難しいのが「空室対策」だと考えています。逆に、満室であれば怖いものは何もありません。
というわけで今回は、私なりの空室対策の手法について書いてみたいと思います。本記事を読まれる方に一つでも参考になることがあれば幸いです。
1.ターゲットを絞りすぎない
私が物件を購入した後に最初にするのは、お部屋のコンセプトづくりです。その際に使ってくれる人のことをイメージするのは大切なことです。最近巷でも「ペルソナ」を設定しなさい、と言われることが多くなりました。
ただ私の意見としては、ペルソナ設定をやり過ぎると、ターゲットが狭くなるリスクがあると考えています。
例えば、私の千葉県某市のアパートは、駐車場がなく駅徒歩13分という立地のため、「駅から遠いし、女性の入居は厳しいだろう。申込みが入るとしたら男性だろう。」という先入観がありました。
実際にアパートの売買時に入居していた人は6戸すべて男性だったということで、よりバイアスがかかりました。
しかし2室の空室をリフォームして賃貸募集したところ、1室は保母さん、もう1室は東京都内に通勤するOLと、2室とも女性が入居を決めてくれました。
駅から徒歩13分は仕事が終わって夜遅く駅から歩いて帰る女性にはネガティブだろう、という推測は見事に打ち砕かれました。現在、このアパートは6世帯中、4世帯が女性の入居です。
世の中の商品で、たとえば化粧品でも、お酒でも、一般のコモディティのほとんどは、ペルソナ設定というのが100%されています。商品を売る上で、どういう人がどういうシチュエーションで使うのかが無ければ、商品開発などできないからです。
しかしその前提は、マーケットが大きく、世の中には消費者が膨大にいるからこそターゲットを絞る必要があるということです。
ターゲットを絞って商品メリットを分かりやすくしないと、誰のための商品なのか分からず買う人が存在しないことになります。ターゲット層を絞ることで、購買につながるという意味です。
しかしながら賃貸経営は、限られたマーケットの中で、如何に検討母数を増やしていくのかが大事です。通常、空室が埋まらない物件は、空室が多いエリアだったり、賃貸激戦エリアであることが多いでしょう。
その際は、ターゲットをどんどん絞るのではなく、より多くの人にウケる内装や、できるだけ多くの人が内見してみたいと思える設備を入れることのほうが、結果的に内見数が増えて、早期申込みにつながると私は考えています。
2.募集条件は自分で分析してみる
アクセントクロスを取り入れたり、設備を増強してお部屋のリフォームが完了すると、次に来るのは「募集条件の設定」です。
まずは家賃、共益費、敷金、礼金、仲介手数料、フリーレントの6つをどのような設定で行くのかというのが大切なポイントになってきます。
たまに有名大家さんが、超ボロい全空・再生物件を、高額のリフォーム費用を掛けて、高い家賃で入居が決まった例などを挙げていますが、一般の不動産投資家はそこまでなかなかできるものではありません。
通常の不動産投資だと、それなりに素敵なお部屋を割安に募集することで決めていくというのが定石になります。ではなぜ多額のリフォーム費用を掛けても、高い家賃で貸すのが難しいのでしょうか。
賃貸の問い合わせというのは、現在は8〜9割がたインターネットからの問い合わせです。SUUMO、HOMES、アットホームという3大ポータルサイトが窓口になります。
検索されるのは、築年数、家賃順、駅徒歩順などで探すのが一般的でしょう。
賃貸マーケットは、築浅で新しい物件に住みたい層(それなりに家賃を払える層)と、低家賃の割には小綺麗な物件に住みたい層(低所得者)に2極化しています。私の所有物件は築古ボロ物件が主体なので、当然後者(低所得者)がターゲットになります。
低価格帯の家賃を求める層は、検索において「家賃を安い順で並べて表示する」という機能は必ず使っていますので、その際にポータルサイトの1ページ目、最低でも2ページ目までに出てこないと、アクセス数が増えず、問い合わせも入りません。
逆に言うと、その範囲内に入るように家賃設定すれば、ある程度のアクセスと内見希望(コンバージョン)が期待できます。このあたりはエリア検索で、自分で分析して家賃設定をすることが必要になります。
3.募集条件・インセンティブ相談
私の場合は、上記の分析を自分なりに行った上で、エリアの管理会社にヒアリングします。自分なりの分析を元に、より現場の営業マンの意見を入れていくイメージです。その際は、少なくとも3社くらいの客付け会社にヒアリングを実施します。
客付け会社によって、案内しやすい物件というのは温度差があったりします。初期費用を下げた方が良いとか、フリーレントをつける方が効果的だとか、広告料を増やして営業マンのモチベーションを刺激するのが特効薬だとか、いろいろな意見が出てきます。
また一律に募集条件を決めるのではなく、仲介会社によって、インセンティブを変えてみるのも効果的です。広告料が欲しい会社もあれば、入居者負担が少ないほうが決まりやすいと考える会社もあります。
このあたりは会社ごとに、客付け手法や社内慣習が違っていることがあるので、各会社の希望内容をヒアリングするのが大切だと考えています。
4.募集広告・写真の入れ替え
熱心な客付け会社だと、自分で写真撮影をしてくれます。その際に、うまく写真を撮影している会社ばかりだと良いのですが、現実はそんなことはありません。
下手な営業マンだと、写真のクオリティが悪くて、室内の雰囲気が伝わらないことがあります。その際は、大家自らが写真撮影をして、再撮影することが望ましいと思います。客付け会社にも、この写真をこっちに変えてくださいと依頼するだけです。
5.仲介店を増やす
大家さんの中には、管理会社が強力な客付け力を持っていると、1社専任でもすぐに空室が埋まることがあります。またインターネットでの問い合わせ・内見依頼がほとんどの時代なので、客付け会社が増えてもあまり意味がないと考える人もいるでしょう。
しかし私の松戸アパートでは、8社くらいに仲介会社を増やしたところ、問い合わせ数や内見数が劇的に増えました。最終的には、現在の管理会社が2室とも埋めてくれたのですが、内見が増えないと嘆く人は、一度は試してみるといいと思います。
注意点としては、管理会社にはひとこと声を掛けておくということです。客付け会社を増やすと、管理会社への空室確認や資料取り寄せなどが増えますので、びっくりされることがあるからです。
6.ターゲットを低所得者にも広げる
空室を埋める最後の砦は、ターゲットをできる限り広げるということです。特に、外国人、生活保護、母子家庭、高齢者、フリーター、短期入居、複数人入居など、賃貸のニーズは多々あります。
デメリットとして、滞納リスク・孤独死リスクだったり、お部屋を汚されるリスクも出てきます。しかし空室のまま、空気に貸し出していても1円も家賃は入ってきません。
リスクヘッジとして、家賃保証会社、連帯保証人(家族・会社の上司・知人など)を取り入れたり、短期解約違約金を設定することで、リスクを最小限にすることはできます。
リスクをゼロにすることはできませんが、リスクを小さくして、最後に残ったリスクは大家自らで取る、という覚悟が必要になってきます。
7.最後は人海戦術
最近は熱心な大家さんだと、ジモティーに掲載したり、近隣アパート・マンションへビラ配りをする人も出てきています。また自己営業で、大学総務部・生協に営業する方法もあると思います。
このあたりの人海戦術は、どうしても決まらないお部屋がある場合には、泥臭いですがそれなりに有効なのではないかと思います。
「内見数×決定率」ですべて決まる
空室を埋めるために、いちばん重要なのは「内見数×決定率」です。どうやってもエリア的に厳しい立地もあるかもしれませんが、まずは内見数・決定率ともに、バランス良く上げることが求められます。
とりわけ空室が埋まらない場合は、内見数が極端に少ないというケースが多いと思っています。2ヶ月くらい募集しても内見が少ない場合は、明らかに内見までの導線に問題があります。目安として、月に1件あるかないかでは厳しいですね。
逆に、10件とか20件も内見があるのに申込みが入らないというケースは、それほど多くはありません。
最終的には、家賃調整で何とかなることが多いのですが、収益物件である以上、家賃を落とせば利回りが下がり、売却価格にも影響してきます。如何に家賃を落とし過ぎず、大家の努力で空室を埋めるか、ということになります。
空室を埋めるために、大家がやれること・できる努力というのはまだまだ沢山あるのではないかと思っています。
以下、関連記事です。
▼最近、話題になってきたウチコミという賃貸募集サイトのご紹介です。私も使っています。
▼空室対策でよく使われる、広告料やフリーレントなどの具体的な活用法です。基本は、物件によって取るべき施策も変わってきます。
▼リフォームコストのだいたいの目安をまとめています。またリフォーム例を見て、自分の所有物件で真似してみるのも有効です。おすすめの事例サイトを紹介しています。