不動産投資において、効率的に規模の拡大をするなら1棟物のアパート・マンション投資は不可欠になります。
私自身も賃貸業7年目ですが、戸建て投資を軸にしながらも、それだけだとキャッシュフローが小さいので、1棟アパートも混ぜながら投資しているのはそのためです。
ただ、1棟アパートへ投資するときに注意しなければいけないのは「入退去の激しいアパート運営」になると非常にキツい、ということですね。
アパート投資においては平均居住年数を如何に長くすることができるか。これが一つのポイントになってきます。今回は、そのことについて書いてみたいと思います。
平均居住年数とは?
平均居住年数とは、入居者が「入居してから退去するまでの期間」のことです。大家さんにとって、入居申込みは嬉しいものですが、退去は本当に辛いです(回数をこなすとこれも慣れてきますが)。
入居者が退去すると、当たり前ですが家賃収入が減ります。また空室の原状回復費用、そして申込みが入ったときには広告料が発生します。
この負担が如何に大きいものかは、以前の記事でもご紹介しましたね。
つまり退去頻度が高くなって、お部屋の回転が激しくなると、それだけ大家さんのコスト負担が大きくなるということです。
私が、初心者の方に戸建て投資をオススメしているのは、退去頻度がワンルームや1Kなどの単身世帯と比べて少なく、平均居住年数が長くなるメリットがあるからです。
では次に、単身向け賃貸と、ファミリー向け賃貸では、どれくらい平均居住年数に違いがあるか、データを見てみましょう。
平均居住年数が長い世帯とは?
こちらが世帯別の平均居住期間のデータです。
※日管協短観 2017年度下期データ(2017年10月~2018年3月) より
特に、見ていただきたいのが、次の赤枠の部分です。
ファミリー系の賃貸物件では、6年以上居住する人が全体の14.9%で、4年〜6年の人が61.9%います。つまり8割近い人が、4年以上住むということです。
もちろんこれは平均居住年数なので、もっと長い人もいれば、もっと短い人もいます。
一方で、単身向けの賃貸物件では、6年以上住む人は3%のみで、4年〜6年住む人も22.4%となっています。合計しても、25%(4人に一人)くらいしか、4年以上住んでくれないということになります。
ファミリー系と比較すると歴然とした差ですね。
では、単身向けアパートを買うと危険なのかというと、デメリットばかりでもありません。そのことについて、次に解説していきます。
単身向けアパート投資のメリットと危険性
一番のメリットは、高利回りの物件が多いということです。そして2LDKなどファミリー向けの間取りのアパートで超高利回り、というのはマーケットではかなり稀です。
したがって低属性で、あまり自己資金のない人が不動産投資をスタートする時には、どうしても高利回りを求めて、単身向けアパートを購入する人が多くなります。
融資はつきにくいですが、耐用年数超えの田舎のアパートなどはけっこう安く出ていたりしますよね。一方で、単身向けアパートには以下のリスクもあることは頭の片隅に置いておきましょう。
- 入居者が部屋を汚く使うケースが多々ある
- 滞納・夜逃げリスク
- 事件、事故の可能性
こういったリスクはもちろんありますが、ファミリー物件より、単身向けのほうが圧倒的に多いと言えるでしょう。
しかしリスクを承知で購入して、うまく運営できれば一番儲けることができるのも単身向けアパートの特徴だと言えます。
しかし、居住年数を大家でコントロールすることは難しい、、というより100%不可能ですよね。
ですから、我々オーナー側ができるのは、短期退去をできるだけ無くすということと、短期退去があっても損失が最小限に住むようにしておくということになります。
短期退去をできるだけ抑制する方法
あくまで抑制する方法であって、100%回避する方法はありません。まずは短期退去のリスク、原状回復のリスクを最小限にするということです。
基本は、保証会社に通らない人を、保証人がいるからと言って、入居させないことです。あまりに属性を下げすぎると、お部屋を汚く使う人も、比例して多くなりますし、その日暮らしで定職につかない人だと、引っ越しも多くなります。
学生、外国人は、保証会社+連帯保証人のダブル保証体制にしています。
昨年も、所有物件のあるお部屋に、中国人の方よりお申し込みが入ったのですが、外国籍だったので、保証会社に通すと同時に、会社の上司の人に連帯保証をしてもらいました。
また保証会社は、原状回復の特約が付いたプランにすることを基本条件にしておけば、より安心です。
そうすれば夜逃げされて、内装がボロボロにされていても、原状回復特約が付いた保証プランなら、入居中の家賃だけでなく、リフォーム費まで保証してもらえます。
次に短期解約違約金です。
これ付けていないオーナーさんも結構多いですね。それで半年で退去されたと言って泣くのであれば、必ず付けておきましょう。
最悪のケースは、数カ月分のリフォーム費を掛けて原状回復して、何ヶ月も空室が続いて、広告料2〜3ヶ月出して入居した人が、半年〜1年くらいで退去されてしまうと、実質ほとんど儲かっていません。
私の場合は、短期解約違約金として1年未満の退去は、違約金1ヶ月を標準としています。もし入居時に、フリーレントを付ける場合は、1年未満での退去は違約金2ヶ月、2年未満退去は1ヶ月分の賃料を頂いています。
俗に言う「2年縛り」ですね。
このようにオーナーが責任を持って入居審査しながらも、保証プラン・短期違約金の設定など徹底的に対策することで、短期退去・リフォームコストを抑制できます。
大家さんは入居対策だけでなく「退去対策」も同じくらい大切だと私は考えています。
それで、もし運悪く、転勤などで短期退去になってしまったり、たとえ夜逃げなどされたとしても、リフォームや広告費で大家が泣くことも少なくなるわけです。
退去させないことが一番の空室対策というのは、まさしく金言だと思っています。
もちろん一番は、家賃に対するお部屋のクオリティを高くして、長く住み続けたい居心地のよい空間をつくることが大家の使命であることは言うまでもありません。
以下、関連記事です。
▼空室対策にはいろいろな手法があります。広告料、フリーレントをはじめとする私の空室対策における考え方、具体的な活用例について紹介しています。
▼リフォームをするときにペリカンが参考にしているサイトのご紹介です。DIYはコストを感を付けるのには非常に有効だと思っています。