賃貸経営は、入居者がいなければ満室時の利回りを達成することはできません。したがって、入居者が求めているものをデータから掴んだ上で、リフォームや設備投資をすべきでしょう。
リクルートすまいカンパニーが2017年9月15日に発表した「2016年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査 (首都圏版)」が興味深いものがありましたので、ここにご紹介します。※エリアは一都三県、有効回答数はn=682のサンプル数
間取り・設備・内装が優先される
まず特筆すべきは、、、、
「間取りが自分好み」
「住宅設備がキレイ・もしくは自分好み」
「内装がキレイ・もしくは自分好み」
この3つは 「駅からの距離」よりも優先順位は高いという結果になっていることです。
(※2016年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査(首都圏版)より)
サンプルが一都三県ということですので、より東京都市圏であれば駅からの距離の比重が増す可能性はありますが、まずは「間取り」「設備」「内装」といった要素が、住宅選定において最優先されているということです。
反対にそこまで重視していない項目としては「耐震性」「外装」「遮音性」ということでした。毎日過ごすお部屋ということを考えれば、安全性や外装といったものより、室内の快適性や利便性が優先されていることでしょう。
人気の設備
「次に引っ越す時にほしい設備」は、以下のようになっています。
- エアコン付き
- 独立洗面台
- TVモニター付インターフォン
2015年調査より上昇率(伸び率)が高い設備としては、WIFI・浴室乾燥機・宅配ボックスの3つが挙げられていることに注目です。
私の所有物件は、まだこうした設備は導入していませんが、今後はこうした時代のトレンドをとらえた経営が必要になってくるかもしれません。とりわけ都市部の若い世代などには有効になりそうです。
ファミリーと単身世帯での違い
次に、属性別だとファミリー世帯ではエアコン・都市ガス・追い焚き給湯が人気が高くなっています。
一方で、単身世帯にはエアコン・モニター付きインターフォン・温水洗浄便座・WIFIあたりが根強い人気を誇っています。宅配ボックスは、特に単身世帯には有効のようです。
物件のターゲットがファミリーなのか、単身なのかということでも設備増強の内容を検討することが必要になってくるのは間違いありません。
今後の賃貸経営のポイント
間取りの問題というのは大きいのだと痛感しています。3DKの間取りを2LDKに変更するなどはコストを掛ければ対応できますが、3点ユニットをバス・トイレ別にしたり、室内に洗濯機置場を新設する、というのはかなりのコストを覚悟しなければいけません。もちろん6帖しかないお部屋をもっと広くするなど不可能です。
住む人にとって「間取りの使いにくさ」というのは、居住期間に大きく影響してくるでしょう。これは最終的に、所有物件の稼働率を左右します。
退去スパンが早ければ、その都度リフォームコストがかかり、客付け時の広告料をまた払わなければいけません。都市部の単身物件などは、2年くらいで入退去が繰り返されることもあります。広告料が高いと利益が残らない大家さんもいらっしゃるでしょう。
我々のような賃貸経営者が努力できることは、購入時点で間取りの使いやすさを考慮することと、購入後は設備を新しくしたり、内装をキレイにして競争力を出していくということだと思います。
最後に「立地」というキーワードが、今回出てこないことに違和感を覚えますが、立地というのは家賃に大きく影響してくるものだと考えています。
立地が悪いから入居者がいないのではなく、立地が悪いのに家賃が高ければ入居者が現れない、ということでしょう。賃料が価値に見合っているかがまずは重要です。
ですから、エリア・立地を考慮した上で、家賃を算出し、そこから逆算した利回りで物件を購入するという姿勢が求められます。
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