こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。千葉県で不動産賃貸業を7年ほどしています。
属性が低く、自己資金が少ない人にとって、最初は築古のアパートや戸建て・区分投資からスタートするケースが多くなります。その際の融資は、公庫やノンバンクに使うのが王道ですよね。
しかし、コツコツ地道に実績を積み上げて決算書をつくり、徐々に信金さんや地銀さんとお取り引きにできるようになるというのも、不動産投資の醍醐味でしょう。
私自身、今回法人をはじめて設立するにあたり、千葉銀行で口座開設のお世話になりました。
この機会を利用して、最新の「千葉銀行のアパートローン融資」について、直接、融資担当者からヒアリングしてきましたので、ここに纏めておきます。
※今回ヒアリングした担当の方は支店で10年以上、法人融資をされている40代の方です。お会いした時にも数億円レベルの決済(不動産融資)を担当しているとのことで、そういったご経験のある方からヒアリングした内容になります。
千葉銀行は地銀 第2位の銀行
千葉銀行は、日本の地銀の一つくらいに考えていたら大きな誤解があります。金融機関の貸出残高ランキングでは、地銀の中ではなんと日本で第2位の貸付残高を持つ銀行です。
地銀では第1位が横浜銀行、貸出残高は10兆円ほど。第2位が千葉銀行で、8兆7千億円ほどです。都銀も含めたランキングでも10位に付けていますから、かなり規模だということがわかります。
※以下、ランキングですが、この順位は毎年ほとんど変わりません。
【貸出残高ランキング/2016年】
※全国銀行協会、金融庁データよりランキング付け
- 三菱東京UFJ銀行 86兆円
- みずほ銀行 70兆円
- 三井住友銀行 69兆円
- 三井住友信託銀行 27兆円
- りそな銀行 18兆円
- 農林中央金庫 17兆円
- 三菱UFJ信託銀行 13兆円
- 横浜銀行 10兆円
- 商工組合中央金庫 9.5兆円
- 千葉銀行 8.7兆円
- 福岡銀行 8.2兆円
- 静岡銀行 7.6兆円
- 埼玉りそな銀行 6.9兆円
- 西日本シティ銀行 6.2兆円
- 常陽銀行 5.9兆円
- 北洋銀行 5.7兆円
- 広島銀行 5.3兆円
- 群馬銀行 5兆円
- 八十二銀行 4.6兆円
- 京都銀行 4.6兆円
- 北陸銀行 4.3兆円
千葉銀行のアパートローンの融資基準
まず融資対象は、木造・軽量鉄骨造・重量鉄骨造・RC造のすべてに対応しています。融資年数は法定耐用年数までOKですが、最長が35年になりますので、RCの新築でも35年が最長ということになります。
木造は法定耐用年数22年が最長になります。基本は1棟マンション、1棟アパートが中心で新築・中古とも取り組み可能です。戸建てや区分マンションは評価が厳しくあまりやっていません(あくまで共同住宅がメイン)。
次に評価方法ですが、積算評価を中心としながらも、収益評価もかなり力を入れてやっています。
特に立地が良い場合は実勢価格が高すぎて、土地と建物の積算価格だけでは、売価に届かないケースが多くなります(そんな場合でもどんどん相談して欲しいというコメントを頂きました)
収益性では新築なら5%以上、中古なら7%以上から土俵に乗ってきて、担保不足した部分は自己資金をお願いすることがあるそうです。ただし新築で7%以上出るようなら、基本はフルローンで審査可能とのことでした。
次に申込者の属性面ですが、サラリーマンの場合は年収1000万以上ということです。サラリーマンの年収基準は、ここ最近で一気にハードルが高くなったそうです。
一方で、法人向け・事業者向けは特に年収基準などはなく、所有物件の収支状況・自己資金・修繕資金の余力等を見て、総合的に判断してもらえるということでした。
融資エリアは、千葉県全域、東京都の東側(つまり23区内)、埼玉県の都市部、茨城県は県南部(水戸はNG)とのことです。神奈川県は融資に消極的でほぼやっていないそうです。
なお融資NGの例として、頻繁に売買を繰り返している法人には融資はしたくないそうです。基本的に、長期的に資産形成として取り組みできる方を対象にしています。融資後に2〜3年で一括返済するような法人には貸さない方針ということでした。
またスルガ銀行の抵当が付いた物件を持っている場合は、ほぼ融資不可になるという厳しいルールもありました。スルガの残債が数十万程度ならOKですが、マンション5棟持っていて、そのうち3棟がスルガ抵当になっているとかであれば融資は通りません。
トラストやオリックスなど、その他のノンバンクは全く問題ないそうです。
まとめ
サラリーマン年収1000万円以上など厳しい基準があり、自分には無理だなあと思ってしまった人もいるかもしれません。これは確かに基準としては厳しいものがあります。副業レベルの賃貸業では取り組みは叶わないでしょう。
しかし、担当者の方も「千葉銀行は不動産融資で大きくなってきたようなものです」とも仰っていました。裏を返せばこれは、事業者(法人)になって、不動産賃貸業で生計を成そうとする方にとっては、本気で資産形成を後押ししてくれるということでもあります。
事業者として経営者目線でやるなら、毎年の決算書を良くして自己資金を地道に貯めていけば、将来的に活用の機会を作り出すことは可能かもしれません。
そういう意味では、投資ステージとしても収益性から資産性への物件組み換えの中で活用していくというのが好ましいのかもしれません。
特に新築の木造アパートや、中古RC・重量鉄骨など、耐用年数の残っている案件には積極的に融資している印象を持ちました。私も、この銀行と対等にお付き合いができるレベルになれるよう、より一層賃貸業に邁進していこうと決意を新たにした次第です。
(悲報)千葉銀行の審査が厳格になりました(2021年2月追記)
2021年に再度ヒアリングを実施したところ、不動産賃貸業向けの融資がより厳格になりました。
先日、その件について以下のツイートをしました。
千葉銀行さんに新築アパートについてヒアリングしてきました。結果、既存物件に耐用年数超えの物件がある場合は、その物件からの収入はゼロで、ローン返済だけマイナス評価されるということでした。
築古大家さんが、新築アパートで千葉銀を使っていくのは、かなり厳しい時代になりつつありますね。
— ペリカン@不動産投資ブロガー (@Pelican0825) February 22, 2021
上記のとおりですね。
ローン返済期間が残り数年で終わるような物件であれば、月々の返済額×返済年数分だけのマイナスなので、手元に自己資金が潤沢にあれば、総合的に評価されてOKが出るケースもあるようです。
一方で、法定耐用年数超えのアパートに、長期で融資を引いている物件がある場合は、家賃収入はゼロカウントで、ローン返済だけ見られるというのは、審査上ではかなり不利(というかほぼ融資NG)となるでしょう。
そして個人・法人とも賃貸業をやっている場合は、すべての物件の状況、借入金の返済予定表、金融資産などを提出しなければならなくなったため、かなり厳格な審査になった印象があります。
以下、関連記事です。
▼年収があまり高くない人はノンバンク融資というのが基本となるでしょう。ノンバンクの代表はやはり三井住友トラストですね。
▼オリックス銀行はサラリーマンには使い勝手の良い金融機関です。築古物件でも融資実績が豊富で、人気ですね。
▼属性があまり良くない人は、公庫がおススメです。期間は10年〜15年と短くなりますが、年収に関わらず相談に乗ってくれます。