こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。専業大家さん6年目になりました。
最近は、中古ワンルームマンション投資が流行っていますね。新築ではなく「中古」のワンルーム、というところがミソのようです。
しかし、中古のワンルーム投資って本当に儲かるのでしょうか?儲からないまでも、節税効果など副次的なメリットはあるのでしょうか?
今回は「中古ワンルーム投資の現実」に迫ってみたいと思います。
中古ワンルーム投資のポイントは3つある
巷でよく言われる「中古ワンルーム投資のポイント」は、3つあります。
- 立地が良い
- 中古
- ワンルーム
まず立地は、東京23区内などが多いですね。23区と言っても、足立区や江戸川区などではなく、新宿区・豊島区・・目黒区、品川区、港区など、かなり都心部の物件が多いです。
中古ですので、価格帯が1500〜2000万円前後と比較的安価なことも、サラリーマンの方にはウケが良いポイントだと思われます。
東京23区だと、約7割が一人暮らし世帯なのですよね。ですから、単身向けの賃貸需要が旺盛で、空室期間も短くなるというロジックになっています。
では、次にワンルーム投資のキャッシュフローについて見ることで、本当に儲かるのか見ていきましょう。
「キャッシュフローはプラスです」は本当なのか?
モデルケースは、以下のようなイメージですね。
- ワンルームマンション
- エリア:江東区
- 築年数:18年
- 広さ:23.5平米
- 販売価格:1800万円
- 月額家賃:78,000円
- 表面利回り:5.2%
- 運営コスト:17,000円(管理費・修繕積立金)
- ローン:期間35年、金利1.7%
- ローン返済額:56,893円(月額)
- 収支:月額+4,107円(年49,298円)
上記のように、単月のキャッシュフローは、一見プラスになっているように見えますね。
しかし、この収支計算には、以下の注釈があることに注意しなければいけませんね。
上記の注釈ですね。
こういった注釈は小さい文字で書かれており、たとえ気付いたとしても、素人ではそのインパクトがわからないのですよね。
では、一体どのくらいの金額が掛かるか?大家の立場から、具体的にご説明します。
塵も積もれば山となる「経費」あれこれ
年間経費をざっと計算してみます。
まず空室期間ですが、退去後はリフォームにも時間がかかりますので、すぐに入居はできません。
退去後は、退去立会いをして、リフォーム箇所を決めて業者さんから見積もりを取ります。リフォームが完了して、入居のお申込みが入っても、その人が実際に入居して家賃が入ってくるのは、どんなに早くても1ヶ月〜1ヶ月半程度かかります。
この間も上記の例でいえば、ローン返済(56,893円)と管理費・修繕積立金(17,000円)は、オーナー負担としてかかってくることは見逃してはいけません。
単身向け物件の場合、入退去がわりと頻繁(最低でも2〜3年に1回)は発生します。そして、入居が決まったら管理会社に広告費(家賃1ヶ月分)を払うルールがあります。
固定資産税は、マンションの立地や築年数に左右されますが、都内の中古ワンルームだと4万円〜8万円くらいでしょう。
最後に、設備修繕ですが、大きいものだとエアコン8万円、給湯器10万円などありますが、これは10年〜15年に1回の頻度でしょう。毎年の費用として均すと、修繕は年間1万円も見積もっておけば問題ありません。
ざっくり、ここまでの年間経費をまとめると、以下のとおり。
- 空室ロス:年73,893円(空室期間のローン返済+管理修繕積立)
- 広告料:年39,000円(78,000円を2年に1回程)
- リフォーム費:5万円(敷金でまかなえないオーナー負担分)
- 固定資産税:年4万円〜8万円
- 設備修繕:年1万円
- 火災保険料:年3万円
合計:年242,893円〜282,893円
上記が、1年間にかかるワンルームマンションの経費ですね。
さきほどキャッシュフローが毎月4千円のプラスでしたが、経費が月に2万円くらいかかります。
最終的にはマイナスのキャッシュフローになることは間違いありません。
中古マンションも「家賃下落」は起こる
中古とはいえ、家賃下落が毎年0.5〜1%くらいはありますので、毎年の家賃も500円〜1000円くらいずつ下がっていくと考えるのが自然でしょう。
そうすると、10年もしないうちに、単月のキャッシュフローも赤字になっていきます。
このようにワンルームマンションの最大のリスクは、修繕費・広告費・固定資産税・火災保険料・空室期間中のローン返済などが含まれていない点にあるということですね。
繰上返済しましょう!というセールストークに注意
不動産会社のほうも、このままだと赤字になって、顧客からクレームが来てしまいますね。
その対策として、以下のセールストークが展開されるケースが大半です。
私個人的には、これは”魔法のコトバ”だと思っていて、とても都合の良いセールストークだなという印象です。
だいたい年間50〜60万ほどを繰上返済することをすすめられるケースが多いようです。これだと当初に35年ローンを組んでも、その半分の17年でローンは完済できます。
ローン完済後は、家賃収入から管理費・修繕積立金を引いた、4〜5万円がまるまる手残りするので、17年後には無借金のワンルームマンションと、年間50〜60万円のインカム収入ができます。
ただしですね。17年の間必死に、年50〜60万円の繰上返済をして、マンションが築35年くらいになった頃に、年間50〜60万円のインカム収入ができても、そこからあと何年その物件を貸し続けられるのか?という疑問ですね。
繰上返済すれば、いつかは無借金になるのは当たり前ですが、それは本業の給与から捻出しているわけです。
築35年のワンルームマンションで、もし家賃が5〜6万円まで落ちると、立地がよくて利回り7%で売れても1000万円弱でしか売れません。
結果として、家賃が下がってもその後も、貸し続けるしかない選択肢になります。
築40年、50年のマンションだと、設備も古めかしくなりますから、競争力を維持するためには、また設備更新が必要になるでしょう。
これだと老後の収入源どころか、「金食い虫」になるのは火を見るより明らかですね。
あとがき
唯一、ワンルーム投資にメリットがあるとすれば、以下の2つですね。
- 相続税対策
- 生命保険の役割
富裕層の人などが、相続税対策としてワンルームマンションを買うケースですね。
あとは、ワンルームマンションを買うときに、団体信用生命保険を付けてローンを通すケースが多いですね。旦那さんが不慮の事故で亡くなったら、残されたご家族には無借金の形で、マンションが残ります。
このように相続税対策だったり、将来のリスクヘッジとしての役割は、十分期待できると言えるでしょう。
ですから、「ワンルーム相続税対策」とか「ワンルーム生命保険」という方が、ネーミング的には正しいのではいかと思います。ワンルームマンションを、”投資”と呼ぶから、おかしなことになるのです。
同じ新築なら、シノケンのアパート経営ほうが、ローン完済後は土地も残りますので、合理性があるかもしれませんね。私自身は、土地から自分で探してアパートを建てますので、建て売りアパートには興味がありませんけども。
以下、関連記事です。
▼不動産投資の勉強法について、私がやってきたことを全公開しています。
▼自己資金300万円くらいでスタートできる不動産投資方法のご紹介です。