賃貸併用住宅に融資が出る金融機関(サラリーマン・個人事業主向け)

こんにちは。ペリカン(@Pelican0825)です。

 

最近、賃貸併用住宅の広告をよく見かけるようになりましたね。セールストークは次のような感じでしょうか。

 

「住宅ローンで、1室はマイホーム、そしてもう1室を賃貸用にすれば、賃貸用から得られる収入(家賃)で、住宅ローン返済の全額または大部分がまかなえます!」

 

これだけ聞くと、たしかに合理的に見えますよね。

 

素敵なお家に住みながら、住宅ローンの返済額が下がる。しかも金利は、超低金利の1%以下で借り入れが可能というのが最大のウリになっています。

 

賃貸併用住宅は、サラリーマンと自営業者では使える金融機関が異なります。今回は、どんな金融機関が融資をだしているのか順にご紹介します。

サラリーマンが使える金融機関【賃貸併用住宅】

サラリーマン

 

一般的に、賃貸併用住宅の要件は、居住部分の延床面積が賃貸部分の1/2以上必要です。こうしたスキームは居宅割合が51%以上あれば、住宅ローンが使えるという従来からある仕組みに過ぎません。

 

都銀・地銀なら、金利1%台、属性が良ければ1%未満でも借入可能かと思います。しかし返済額は通常の住宅ローンより、増えるわけですから、それなりの年収・勤続年数などが求められると考えています。

 

都銀・地銀で融資が通る人は、サラリーマンでも年収700万円超えが一つの目安と言えるでしょう。都銀だと、より金利メリットがありますから、ぜひトライしてみてください。

 

個人事業主が使える金融機関【賃貸併用住宅】

個人事業主

 

最近では、居住部分が1/3でも可能、つまり2/3まで賃貸部分にしてもOKという金融機関が出ています。スルガ銀行とゆうちょ銀行が提携して行っているローン(ホームローン夢舞台です。

 

これは賃貸部分はオフィスでも店舗でもOKなので、飲食店を開業したい人などにも向いています。また将来は、弁護士・税理士・司法書士・宅建士など、士業で独立開業したい人などにも適しているのではないでしょうか。

 

たとえお店は失敗しても、立地が悪くなければ、他の第3者にテナントとして貸し出すことができます。

 

このローン商品の枠組みはこんな感じ。

 

ホームローン夢舞台「個人事業主応援型」
  • 個人事業主の方限定、20歳以上65歳未満
  • 融資金額は、10万円以上2億円以内
  • 融資期間は、1年以上35年以下
  • 団体信用生命保険の加入:要
  • 金利は変動金利型(3.575〜5.175%)※2017年3月28日現在
  • 返済は元利均等・元金均等とも可能

 

スルガとの提携ローンは、自宅部分80㎡超、残りを20㎡×8室など、けっこうそれなりに戸数を増やして、アパートローンに近い形でこのローンを利用しないと、返済負担などリスクを考えると運営が難しくなります

 

※ただしこれは、賃貸併用住宅というより、ほぼアパートオーナーレベルの賃貸事業になりますけどね。

賃貸併用住宅のデメリットとは?

賃貸部分から得られる収入を、居住部分も含めた全体のローン返済に充てるというのは理想的なスキームです。

 

しかし、次のことに留意しておかなければいけません。

 

デメリット1:空室リスクとリフォームの手間

一つ目は、空室リスクと原状回復リフォームです。つまり賃貸部分は常時満室で行かないと、ローン返済が重くなるだけなのです。たとえばローン返済が毎月16万(借入6000万/金利1%/35年ローン)なら、賃貸部分が仮に10万円が入ってくるなら、残り6万円の返済だけで済むわけですが、賃貸部分が空室になると、返済が16万円になる月が出てくるわけです。

 

しかも空室になると、間取りにもよりますが原状回復に数十万円はかかりますので、それも見込んでおく必要があります。だから「満室は当たり前」でないといけませんが、賃貸経験のない素人が、家賃を落とさず(落とすと返済額が増える)、空室期間を最小限にして運営できるのか、という疑問は残ります。

 

特に最初の10年くらいは物件は綺麗ですが、古くなるに連れて競争力を失っていくので、通常は家賃を下げるなどしないと、空室は埋まらなくなります。35年ローンなら、家賃減額も含めた長期的なシミュレーションが必要になるでしょう。

 

デメリット2:修繕リスクについて

2点目は修繕リスクです。

 

建物というのは外壁面積が多くなると、外壁塗装費用なども莫大に大きくなります。小さな平屋一戸建てなら100万円以下でも塗装可能ですが、戸数が増えると150〜300万円くらいまでかかります(3階建てなどになると足場代も嵩みます)

 

また賃貸部分の入居者からのトラブル(水漏れ・設備不良)など、経年劣化に連れて、給湯器・配管・水漏れなど総合的なメンテナンスが必要になります。これは自宅だけでなく、「他人様の住む家の面倒までみなければいけない」ということです。

投資としての利回りは?

投資の利回り

 

最後に、”投資家として”賃貸併用住宅はアリかナシか、を考えてみたいと思います。

 

先ほどの例を使って、計算してみます。

都銀スキーム

まず都銀スキームで自宅部分を80㎡超(3LDK)にして、残りを20㎡×4室(1K)にした場合ですが、賃貸部分は1戸500万円で建築するものとします。建築費は、居住部分が4000万円、賃貸部分が2000万円、諸経費は現金で持ち出しのケースだと、新築なら家賃6万円×4室で24万円取れるでしょう。

 

6000万円のローンは35年/金利1%なら、返済は月々17万円ほどなので、最初は7万円のプラス。1室空室が出てもローン返済はゼロです。2室空くと、持ち出しが5万円発生しますが、それくらいなら許容可能です。

 

しかし築20年を超えて、1室家賃が4万円になると満室でも収入は16万円になりますので、返済17万円だと持ち出しが発生し始めます。1室空きで5万円、2室空きで9万円の持ち出しです。

 

賃貸部分2000万円のローン投資に対して、新築時に月々7万円のプラスでは、利回り4.2%ほどです。これは投資としては成り立たないと思われます。1室空きが出ると利回り0.6%になってしまいます。

ゆうちょ銀行&スルガスキーム

次にゆうちょ&スルガ銀行スキームですが、自宅部分を同じく80㎡超(3LDK)にして、残りを20㎡×8室(1K)にした場合ですが、建築費は、居住部分が4000万円、賃貸部分が4000万円、諸経費は現金で持ち出しのケースだと、新築なら家賃6万円×8室で48万円取れるでしょう。

 

8000万円のローンは35年/金利4%になるので、返済は月々35万円ほどなので、最初は13万円のプラス、2室空室まで持ち出しゼロとなりかなり優秀です。

 

しかし築20年を超えて、家賃4万円になると、満室でも32万円の収入で持ち出し3万円。1室空室で7万円、1室空室なら11万円と、返済負担が大きいだけに、持ち出し額が一気に多くなります。

 

賃貸部分4000万円のローン投資に対して、新築時に月々13万円のプラスでは、利回り3.9%ほどです。これも投資としては成り立ちません

まとめ

賃貸併用住宅は、今のところ通常のサラリーマンにとってはリスクが大きく(満室経営&修繕リスク)、投資家にとっては利回りが低すぎる、と言わざるをえません。

 

もし賃貸併用住宅というスキームが成り立つなら、もっと物件自体を安く建築できて、結果ローン返済額が下がるスキームを作るか、自宅部分が1/3、1/4などでも低金利で資金調達できるローン商品が出てこないと厳しいでしょう。

 

もしあなたが賃貸併用住宅をやるなら以下要チェックです。

 

  • 融資動向、建築費、入居付け難易度
  • 家賃下落率、修繕リスク
  • 10年目・20年目・30年目の家賃見込み
  • 返済中orローン完済後の不動産売却

 

というわけで、賃貸併用住宅はほぼ投資だと思ったほうが良いということですね。あらゆる角度からの綿密なシミュレーションして検討することをオススメします。

 

以下、関連記事です。

 

▼我が家では、中古のマイホームを安く買ってリノベーションして住んでいます。

 

▼高額な住宅ローンを35年ローンで組むリスクについて詳しく解説しています。

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事