ノンバンクを活用した不動産投資の手法【高金利リスクと出口戦略】

ノンバンクとは、預金業務を行わない金融機関です。銀行のように免許制ではなく、貸金業規制法に則り、登録制で開業をしています。

 

以下が、不動産投資で一般的によく使われるノンバンクの代表例です。

  • セゾンファンデックス
  • 三井住友トラストローン&ファイナンス
  • 新生インベストメント&ファイナンス

 

オリックス銀行や静岡銀行のアパートローンなども、金利が3%前後になることが多いので、かなり高金利な投資用ローンとして有名ですね。

 

ノンバンクは金利が高めだったり、築古・耐用年数超えの物件にも長期ローンが組めてしまうことがありますので、初心者の方は使い方を間違えないようにしなければいけません。

 

一方で、ノンバンクは年収が低い人も融資対象となったり、キャッシュフローがまだ潤沢でないフェーズにおいても活用が見込めたりと、低所得サラリーマンにとっては貴重な存在でもあります。

 

実際、ペリカンもこれまでノンバンクでアパート2棟の融資を受けています。

 

どちらのアパートもほぼ満室で順調な経営ができているので、規模拡大においては大いに役立っていると感じています。

 

というわけで、今回はノンバンクを利用する際のメリット・デメリットを整理しつつ、出口戦略におけるポイントについても深堀りしみたいと思います。

ノンバンクのメリットと活用方法

ノンバンクのメリットと活用方法 

 

ノンバンクのメリットは、以下のとおりですね。

 

  1. 属性・年収が低くても融資がつきやすい
  2. 田舎の物件でも融資対象になる
  3. 金利は3〜4%程度と高め
  4. スピード勝負の物件でも審査がスムーズ
  5. ローン期間を長く取れてCFが出やすい

 

特に5の「融資期間が長く取れる」というのは、投資初期の段階においてはポイントになりますね。

 

なぜなら地方銀行や信用金庫などの金融機関だと、融資期間=法定耐用年数以内が原則のため、築古物件については融資NGとなる場合が多いからです。

 

建物は、構造に応じて耐用年数があります。

  • 木造:築22年
  • 重量鉄骨造:34年
  • RC造:47年

 

これは税務上の耐用年数なので、経済耐用年数(=建物の寿命)とは本来関係がありません。実際、木造など築30〜40年でも住むのには特段支障はありませんし、ヨーロッパでは築100年以上の物件がゴロゴロあります。

 

しかし、日本ではほとんどの金融機関が、税務上の耐用年数内でしか、基本審査ができないということは理解しておかなければいけませんね

 

私の場合は、サラリーマン時代ずっと信州の山奥に住んでいましたが、法定耐用年数を超えて融資してくれる地銀・信金はありませんでした。公庫でさえ、後付け融資しかしていないエリアでした。

 

「耐用年数が残っている物件だと融資が出ても低利回りでキャッシュフローがほとんど出ない。かといって築古だと融資が付かない。」

 

当時は、私も自己資金が乏しかったので「高利回り×築古」で、キャッシュフローを叩き出せる金融機関をひたすら模索していました。

 

上記のジレンマを解消してくれる存在が、まさにノンバンクだったと言えるでしょう。

ノンバンクのデメリット→残債が減るスピードが遅い

ノンバンクのデメリット

 

ノンバンクを活用する上で一番気をつけなければいけないのは「残債が減るスピードが遅い」ということです。ここの認識が甘い人は、けっこう多いです。

 

私が所有する群馬アパートを例にしてご説明します。ざっと以下の購入スペックです。

 

  • 木造:築27年
  • 購入価格:3000万円
  • 表面利回り:13%

 

この物件をノンバンク(金利3.9%・期間25年)の長期ローンを組みます。すると長期譲渡タイミングの5年後に、残債は2600万円ほど残っています。

 

次に、これを公庫(金利2%・期間15年)で取り組むと、同じく5年後には残債は2080万円まで減っています。

 

もし金利3.9%のまま、ローン期間を15年に短縮すると、5年後の残債は2170万円まで減りますので、金利2%の場合と比較しても、100万円ほどしか残債は変わりません。

 

つまり、残債が減るかどうかは、金利ではなく「融資期間」の影響のほうが圧倒的に大きいということですね。

 

残債がなかなか減らない場合、売りたいときにすぐに売れない(残債が消えるレベルの売値がつかない)という事態になりますので、けっこう売却に手こずります。

 

以上より、ノンバンクの場合は、残債が減るスピードが遅いのが最大のデメリットです。ここをしっかり理解しておくことが大切ですね。

 

もちろんその分、キャッシュフローが出しやすいのが強みになります。得られたCFをうまく再投資するという意識が非常に大切になってくると言えるでしょう。

ノンバンクで購入した物件の出口戦略とは?

物件の売却

 

では、ノンバンクで購入した築古物件の出口戦略は、どのように考えれば良いのでしょうか?

 

おもに以下の2つを挙げておきます。

 

  1. 途中売却する場合
  2. 朽ちるまで運営する場合

 

それぞれ解説します。

 

1.途中売却する場合

よく言われることに「築30年の物件に、25年のローンを組むと、最終完済が築55年になるけど大丈夫なのか?」というのがあります。

 

実際は築55年まで運営しないで、途中で売却するケースが大半でしょう。その際、売りたいときに残債が減っていない事態にどう対処するか?それは売却価格の下限を考えておく、ということです。

 

私の場合は、収益アパートだと利回り15%で割り戻した価格で出口を取るのを、基本路線にしています。

 

あとは人気のエリアだったり築年数が20年台だったりすると、利回り13%の売却想定にしたり、若干前後するかなというイメージですね。

 

ちなみに、金融機関には利回り17%で売っても、所有期間中のCF+キャピタルゲイン(またはキャピタルロス)で、利益が出ることを資料として作成し説明しています。

 

この方法はかなり有効で、最近のプロパー融資にもつながっていることを実感しています。

(参考)不動産投資でプロパー融資(事業性融資)が引けない原因【3つある】

 

2.朽ちるまで運営する場合

次に、朽ちるまで運営するケースです。その場合は、「ローンを繰上返済する」のも一つの戦略でしょう。

 

ノンバンクで長期ローンが組めるとキャッシュフローが大きくなります。そのキャッシュフローで繰上返済すると、金利負担が減り、翌月からキャッシュフローが増えます。

 

増えたキャッシュフローを繰上返済に回せば、またキャッシュフローが増えます。これを繰り返すことで返済の額自体も、だんだん増えていきます。

 

結果として、支払い金利の削減により返済が進むので、複利効果をどんどん加速させることができます。

 

ただし、不動産というのは長期所有すると減価償却も無くなり、税金が増えます。

 

古くなればなるほど、競争力も下がりますから、どこかの段階で貸すより売却するほうが、トータルで考えるとお得になるポイントが来ることがあります。

 

「朽ちるまで貸す」というのは言葉でいうのは簡単ですが、そこに至るまでは税金・大規模修繕・エリアの賃貸需要など、さまざまな問題が出てくることは覚悟しておく必要がありますね。

 

本当に朽ちるまで貸すのであれば、利回りが20%以上など超高利回りであるか、もしくは売っても代替不動産を買っていく自信がないひとはホールドという選択肢になってくるでしょう。

おわりに

ノンバンクを活かすも殺すも、キャッシュフローの使い方次第です。

 

そして大切なのは以下の2つだったりします。

 

  • キャッシュフローがしっかり出る物件を買う。
  • 出たキャッシュフローを、有効に再投資する。

 

これは企業が儲けたお金で、ローンを繰上返済をする、もしくは新たな事業に再投資するのと一緒ですよね。

 

レバレッジを利用して事業を推進し、売上が安定してきたら、財務バランスを立て直す。

 

上記が一番重要な考え方になります。

 

なお注意点として、ノンバンクを活用する際は、イールドギャップ(表面利回りー貸出金利)に注意しましょう。

 

利回り15%の物件に、金利3%で融資を引いてもさほど問題ありません。しかし、利回り7%の物件に3%の金利だと、ほとんど手残りがないはずです。手残りがゼロだと繰上返済もできませんし、大きな修繕が出たらキツくなります。

 

高金利が絶対ダメなのではなく、あくまでも物件と融資の組み合わせが問題ということですね。

 

中途半端な利回りの物件を、融資がつくからという理由でノンバンクで買うのは避けたほうがいいでしょう。

 

以下、関連記事です。

 

▼三井住友トラストL&Fは、ノンバンクでは最も不動産融資に力をいれている金融機関でしょう。

 

▼公庫の融資期間が10年程度まで絞られています。期間だけで見るとシビアになりましたが、全期間固定金利というのは安心感があります。

 

▼どうしても諸費用が足りない場合は、無担保ローン・カードローンを使うのも一つの手です。ただし高金利のため、返済計画をしっかり立ててから使いましょう。

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