【新築アパート投資】利回り8%では儲からないワケ
昨今、築古アパートの利回りが低下するにつれて、新築アパート投資をする人が増えてきました。私のところにも、新築アパート投資で利回り7〜8%の物件情報が、毎日のようにメルマガで届きます。
”持たざる者”が資産形成を進めていくために、金融機関から融資を引いて、不動産に投資をすることは、資産形成の一つの手法だと私は思っています。
ただ、新築アパートというのは利回りが6〜8%程度です。これは、将来的な運営がだんだん厳しくなっていきます。
特に、以下のような新築アパートは気をつけたほうが良いでしょう。
- フルローンで期間30年以上など長期融資を受けている
- 利回りが7〜8%程度で土地値の低い物件
- 狭い間取り&貧弱な設備などクオリティが低い物件
それぞれ、解説してみたいと思います。
フルローンで期間30年以上など長期融資を受けている
とりわけ2008年〜2013年くらいに、属性や資産背景を活かして、利回りの良い物件を買ってきた人たちは、数年ほど物件を運営したら売却することで、大きな利益を得てきました。
彼らはフルローンで長期ローンを組んでも、マーケット全体の価格が上がっていくので、出口で損失を出すこと無く、なんとか売り抜けることができたのです。
しかしながら2018年に入ってかぼちゃの馬車事件により、市場全体の融資姿勢が一気に冷え込んできました。これにより、買える人が限定されてくるので、ますます物件が売れない時代に突入しつつあります。
これまでは市場全体が上がっていき、融資もジャブジャブでしたが、今後は融資が出なくなるので、とくに地方エリアの不動産は売れない時代が来るでしょう。
加えて、30年〜35年で長期融資を受けている物件の最大の特徴は、「残債がなかなか減っていかない」ということです。
では具体的に、どのくらいの収支になるのか見ていきましょう。
利回りが8%程度で、土地値の低い物件
以下は、利回り8%の新築アパート(全6世帯)の将来予測です。
ローン返済は25年と30年の2パターンで、金利1%(変動・元利金等)の想定です。
想定家賃ですが、新築時に1世帯あたり65,000円の家賃として、毎年1,000円ずつ減っていく試算です。そうすると築10年で家賃は56,000円程度まで下落し、築20年で46,000円まで下がっていきます。
利回りもどんどん下がっていく(当初8.1%→5.7%)のが分かりますね。
(※なお新築時に65,000円の家賃で、築10年になると5万円台半ばとなり、築20年を超えると4万円台に落ちるというのは、感覚的にも妥当なラインだと考えて、このシミュレーションにしております)
この前提だと、6世帯ありますから新築時は満室家賃が39万円(65,000円×6部屋)ほどです。これが10年目では336,000円まで下がり、20年目には276,000円まで下がります。
一番の問題は、その期間ずっとローン返済があるということです。期間25年〜30年だと、毎月約20万円前後のローン返済があります。最初は満室で収入が39万円ほどあるので余裕です。
しかしながら、10年目には家賃33万円の中から返済20万円を払わなければいけません。もちろん、リフォーム費・広告料・管理費・固定資産税・修繕費・税金などは、別途払う必要があり、おそらく毎月の手残りは10万円を切ってくるでしょう。
20年目ともなると、満室家賃収入が27万円の中からローン返済が20万円となり、別途さきほどの経費関連があるので、確実に赤字に転落することは間違いないでしょう。
このように入退去の度に家賃が下がっていくのが、新築アパート投資の最大のリスクです。けっこう早い段階から、収入より支出が上回っていきます。
所有期間中も10年目まではなんとか回りますが、20年目でギリギリの収支になってきます。木造で期間22年で融資を引いている人はあと2年で無借金経営に突入できますが、期間30年〜35年で融資を組んでいる人は厳しいですね。
ですから、まずは収益性が7〜8%の利回りで返済が苦しくならないかどうか?投資期間全体では利益はどれくらい出るのか?について事前によく検証することが大切でしょう。
土地値も低く、資産性がない物件だと、完済後の旨味もあまりありませんね。
狭い間取り&貧弱な設備などロークオリティ物件
リスクの高い新築アパートでよくあるのが以下のスペックです。どれもよくある代表的なものです。
- 駅から徒歩10分以上など距離がある
- ワンルームや1K5〜6帖など狭小の間取り
- 貧弱な設備(キッチン小・独立洗面無しなど)
特に、電車通勤圏にも関わらず、駅徒歩10分以上と遠かったり、間取りが20平米以下で狭い条件だと、築年数が進んでいくにつれて、一気に競争力を失っていく可能性があります。
新築プレミアムは最初の数年だけです。賃貸経営は、新築プレミアムが無くなった後の方が圧倒的に長いのですから、その際に選ばれにくい間取りだと、長期的に戦っていくのは苦しくなります。
結果、家賃を下げないと決まらない、広告料(AD)を増やさないと決まらないという自体が起こりがちです。
新築アパート利回り10%ならどうか?
ちなみに、安い土地を仕入れたり、頭金を入れるなどして購入価格を下げて、利回り10%を確保できた場合も、計算してみました。
そうすると10年目でも家賃33万円に対して、25年ローンなら返済が17万円、30年ローンなら14万円ほどなので、キャッシュフローは回りそうです。
20年目でも家賃27万円を確保できていれば、ローン返済、その他管理・修繕費等を考慮しても黒字でいけるでしょう。
したがって、新築アパートは利回り10%程度はないと、経年とともに運営が厳しくなるというのが、私の中での一定の結論になっています。
儲からない新築アパート購入後の対策
ここまでだいぶネガティブな論調で書いてきました。しかしながら、それくらい新築アパートの経営は難しいということです。
もしやるなら、キャッシュを多額に持っている人や、不動産投資ですでに成功した人が、頭金を2〜3割を入れて残債利回り10%程度をクリアして取り組むのであれば旨味が出てくると考えています。
初心者投資家や持たざる者が、フルローンで新築アパートに手を出してしまうと、なかなか利益を出すことは難しいでしょう。
その上で、もし儲からない新築アパートを買ってしまったら、どうするべきか?それは「必死で繰上返済すること」しかありません。
サラリーマン収入または他の不動産・事業からの利益をどんどん充てて、一気に繰り上げ返済してしまい短期決戦にしてしまう。これが、シンプルにして一番効果的です。
ただし不動産投資に対するスタンスはみなさんそれぞれです。
例えば、サラリーマンを辞めるつもりは毛頭なく、25年〜30年のローン返済をなんとか耐え切って、完済して無借金になったら老後の収入源にする、という投資スタンスもあっても良いと思います。これは時間軸での考え方の違いですね。
私は新築アパート投資をするなら、頭金を多めに入れるか、土地を相場より格安で購入してローコストで上モノを建てて、利回りを最低でも10%確保する。この2つの方法しか、新築アパートで成功する道はないと考えています。
いずれにしろ、長期的なスケジュールをよく考えなければいけませんが、融資で購入することを考えるならば、長期的には金利上昇もリスク要素になることは覚悟しておかないといけませんね。
赤字を出しながら、20年、30年耐えきるのは簡単なことではありません。だからこそ、繰り上げ返済してリスクを減らしていくことは、一つの有効なオプションになると考えています。
不動産投資やるなら「中古」が絶対おすすめです
新築アパートは、買った瞬間からどんどん価値が落ちていきます.
ですから、私のおすすめは中古マンションです。
築20年~30年くらいで程度の良いものを見つけて、綺麗にリフォームして貸し出すのがおすすめです。実際、これを都心型でやっているのがRENOSY (PR)です。
RENOSYは東京都内や関西エリアで、中古マンション探しのお手伝いをしてくれて、購入後のリノベーション、保守・管理までを一括サポートしています。
ちなみに、RENOSYを運営しているGAテクノロジーズ社は、この不動産テックサービスが好調で、2018年に東証マザーズに上場もしている勢いのある企業です。
私も資料請求してみたのですが、不動産経営の初心者にも分かりやすく内容がまとまっていました。
低利回りでサブリース型の新築アパートなど買うなら、こうした都心の一等地の中古マンション(1000万円台〜2000万円くらい)を、丁寧にメンテナンスして長期運営するほうが空室などにも困らないと思います。
ご興味のある方はRENOSYの資料もご覧になってみてください。けっこう勉強になると思います。 ⇒ RENOSY (PR)
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